猫は方円の器に従う

こんにちは。お久しぶりです。先日発表されたイグノーベル賞、面白かったですね。ニュースでは日本人受賞者(生物学賞)の虫の話ばかりが報道されていたようですが、私は断然、イグノーベル物理学賞にはまりました。(本日長文です)
「ネコは固体であると同時に液体であることが可能か」というexcitingなテーマでフランスのマーク・アントワン・ファルダン氏が受賞。なぜはまったかというと、以前このような記事を書いていたからです。やっぱり!

イグノーベル賞セレモニーの様子はこちらです。物理学賞は14分後あたりから。
http://youtube.com/watch?v=yNwLfRpNHhI
(プレゼン持ち時間が終了すると、Miss Sweetie Pooちゃんに”Please stop, I’m bored.”(もうやめて、退屈だわー)を連呼されるお約束です。)

そして、Guardian紙に9月14日掲載の”Solid and liquid cats, didgeridoos and cheese disgust scoop Ig Nobel awards”(固体と液体のネコ、ディジュリドゥおよびチーズ嫌いがイグノーベル賞を獲得)から関連部分を拾い読み(訳してみました)。

"The theoretical treatise, entitled On the Rheology of Cats, argues that cats can technically be regarded as simultaneously solid and liquid due to their uncanny ability to adopt the shape of their container."
(「ネコのレオロジー(流動学)について」と題された論文では、ネコは容器の形状に沿う不可解な能力を持つことから、固体であり同時に液体であるとみなすことが理論的には可能だとしている)


写真は論文掲載のRheology Bulletinより。

'Marc-Antoine Fardin, of the Université Paris Diderot and sole author of the cat paper, was inspired by an internet thread featuring absurd photos of cat-filled containers, ranging from sweet jars to sinks. "This actually raised some interesting questions about what it means to be a fluid and so I thought it could be used to highlight actually serious topics at the centre of the field of rheology, the study of flows," he said.'


(このネコ論文の単著者である、パリ・ディドロ大学のマーク・アントワン・ファルダン氏は、お菓子のビンからシンクにいたるまで、ネコがなみなみと入ったさまざまな容器のくだらない写真をまとめたインターネットのスレッドに着想を得た。ファルダン氏は「実にこれがきっかけとなって流体であることはどういうことかという興味深い問いが生まれ、レオロジー分野の中心にある実に重いテーマを浮き彫りにするのに使えそうだと考えた」と述べた)

レオロジーなんて知りませんでした・・・。物質の変化と流動を扱う学問分野だそうです。

'Fardin’s subsequent paper, published in the Rheology Bulletin in 2014, explores how to calculate a cat’s "Deborah number", a special term used to describe fluidity, and speculated on how cats might behave if subjected to the 'tilted jar experiment."'


(その後2014年にRheology Bulletinで発表されたファルダン氏の論文では、ネコの「デボラ数」―流動性を示す専門用語―の計算法を探求し、「傾斜ビン実験」の被験者となったネコたちがどのようにふるまうかを推測した) 

だんだん物理学的になってきました。ここで「傾斜ビン」と訳した”tilted jar”ですが、画像検索すると

このような写真が出ます。日本にも似たものがありますが、何と呼ぶんだろうと調べてみると、その名も猫瓶!猫のような形状だからというのが由来だそうです。日本人、すごくない?

'“If you take a timelapse of a glacier on several years you will unmistakably see it flow down the mountain,” he said. “For cats, the same principle holds. If you are observing a cat on a time larger than its relaxation time, it will be soft and adapt to its container, like a liquid would.”'


(「氷河を数年にわたって低速度撮影すれば、それが山を流れ落ちる様子を確実に目にすることができる。ネコにも同じ原理が当てはまる。ネコを緩和時間以上の長時間にわたって観察していると、やがてネコは軟化し、液体と同様に容器の形状に沿う」と同氏は語った)

後半のrelaxation timeは、科学の用語である「緩和時間」ですが、ネコが「くつろいでいる時間」と掛けてありますよね。ここは原文ならではの面白さ。

さて、器に入ったネコたちは幸せそうな上、見ている私たちまで和やかな気持ちにしてくれます。「水は方円の器に従う」と言いますが、「器に沿う」ことは幸せに生きるコツかも・・・ネコが身をもって教えてくれているような気がします。

よろしければ(笑)

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