教養のための英単語1100
こんにちは。帰国子女でなく、海外経験もなく、特に英語を話す環境にもないのに、国内独学で英語を身に付けた人の学習法は、不思議と(自然と?)共通しています。
先日、書店で手書きポップが立っていた英語本「『英語を話せる人』と『挫折する人』の習慣」(西 真理子著)もそういう方が書かれたもの。見出しだけでも「そうそう、そうなのよー」とうなずくものばかりです。
・話せる人は音読を習慣にし、挫折する人は面倒という。
・話せる人はじっと座って50回聴き、挫折する人は電車で"ながらリスニング"。
・話せる人は辞書とともに歩き、挫折する人は都度ネット検索
・話せる人は習慣できており、挫折する人は行動して満足する。
・話せる人は英検で語学力を高め、挫折する人は「英検は時代遅れ」と言う。
・話せる人は中学英語を大切にし、挫折する人はビジネス英語にこだわる。
挙げるときりがないのですが、もう本当にみんな同じことをしていて心強い(笑)。
ところが、概ね痛快なこの英語本にドキッとする箇所がありました。単語学習に関する項です。(太字は原文そのまま、青はkamomeskyによるものです)
"私の経験から、単語帳は必要ないのではと思います。英検一級を受ける時に、合格請負人のような講師に「1100 words you need to know(必須単語1100語)」という、私の人生で、今後二度と出会わないような単語ばかりが出ている単語本を勧められました。書き込み式になっているのと、短文が一緒に出ているため覚えやすいというのがウリでしたが、結局半分までいったところで挫折しました。"
"これは、私に根気がなかったこと以外に、出てくる単語になじみがなさすぎてついていけなかったのが理由です。こういう単語帳はたいていAから順番に並んでいて、それもこれまでの人生でお目にかかったこともない単語ばかりであることが多い。このような単語をこの配列で覚えるのは大変効率が悪いと思います。"
p.22「話せる人は単語帳のすべてを覚えず、挫折する人は単語帳の1ページ目から覚える」より
びっくりしました・・・。私の人生で、とお断りはありますが、「今後二度と出会わないような単語ばかり出ている」なんて書かれていたら、役に立たない本かと思ってしまいますよね。
"1100 Words You Need to Know"(以下 ”1100 Words”)の学習者として言いますが、そんなことはありません!また、"1100 Words"の単語はAから並んでいません(まとめのページくらいです)。といいますか、そのような単語本を見たことがないのですが・・・。
収録単語には英検1級より低いレベルの単語もかなり含まれていますので、1級対策に最も効率が良いとはいえません。ただ、語彙レベルを測るような出題がありますので、広く語彙レベルを上げるにはよい単語本だと思います。
必要な語彙は人それぞれなので、著者は、ご自身には必要なかったとおっしゃりたいのかと思います。私の場合、”1100 Words”で学び始めてから、ネットの英文記事や洋書を読んでいて「あ、この単語!」と思うことが増え、手ごたえを感じています。
そもそも、”1100 Words”を始めたきっかけの一つは、書評などをすらすら読みたかったこと。ニュース記事はどんどん読めるのですが、文芸欄の書評や映画評などは、文の流れや語彙に特徴があり、辞書を引きたくなります。面倒だからといって読み飛ばすと味わいが半減します。
長めの形容詞や抽象的な単語が多いのですが、こうした単語を学ぶことは、「最小限の語彙で通じればOK」という考え方の対極にあるといえるかもしれません。知らなくても、たぶん困らないものです。
ただ、そうした語彙を増やすことで、英語で発信されるさまざまな事をもっと楽しめますし、深い理解にもつながります。全部とはいかなくても、ネイティブの大人が教養として知っている単語をひととおり学べる単語本を探して、”1100 Words”に行きついたというわけです。
ここで学んだ語は、文芸欄はもちろん、Stingのインタビューから、TEDプレゼンまで幅広く見かけるものばかり。だからといって、すべての学習者に必要な単語本だとは言いません。どのような語彙を身につけるかは、学習者が選ぶものだからです。
教養ある大人のネイティブの語彙力を目標に、なじみがなかった単語を自分の語彙にしていくことは、やりがいのあるプロジェクトです♪
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